強くなる理由

 

港町サンマリーノから少し離れた草原。

そこで、一人の青年がモンスターと闘っている。
少しくすんだ青色の帽子と服を身にまとった、まだ若いその青年は闘い慣れているのか、
無駄な動きが無くしなやかに剣を振っていた。

その近くでバニーの格好をした女性が座り込んで、おびえているような、心配そうな目で彼らを見ていた。

しかし、数分も経たないうちに青年はモンスターを切り裂いた。
よほど腕が立つのだろう。
青年は剣をしまうと、まだ座り込んでいた女性の前まで行き、無言で手を差し出した。

女性はその手に捕まって立ち上がる。
彼女の靴のヒールが高いからか、青年が小柄だからか、二人の身長差はわずかだった。

「あの・・・・・・助けていただいてありがとうございました」
少し頬を赤く染めて女性が言った。

「・・・・・・自分の町はどこだ」
「え?」

闘いの時と同じ、冷静な表情で青年が言った。

「また魔物に襲われるかもしれない・・・・・・町まで送ってやる」

 

 

サンマリーノまで二人は歩き出した。

「私、ビビアンっていいます。サンマリーノの酒場で働いているんですけど、今日はちょっとサボって一人で散歩してたんです。
 そしたら突然、魔物に襲われて・・・・・・あなたが来てくれていないとどうなっていたか・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」

ビビアンと名乗る女性は、青年が無言でも何も思わなかったらしい。
そのまま話を続ける。

「お強いんですね・・・・・・! あなたは一人で旅を?」

青年は彼女に顔を向けずに、前を向いたまま口を開く。

「ああ・・・・・・世界一の剣を探している」
「へぇ!カッコいいなぁ・・・・・・それは、もっと強くなるためですか?」

女性は青年の顔を見ながら話す。
それでも彼は、やはり彼女に目をやらずに、ゆっくりと頷いた。

 

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