そして今日の授業は終わり、俺はあのぼろいアパートに帰った。
ポケットから鍵を出そうとすると、誰かが階段を上ってくる。
「あれ、アムイ君? わぁ~私の隣に住んでたんだ」
スーパーの袋を持ったすずだった。
袋の中には野菜などが入っているのが見える。
まだ何か言いたそうなすずを無視して、俺は家の中に入った。
それから毎日、時間があればすずは俺に話しかけてきた。
「前はどこに住んでたの?」とか
「料理得意? どんなの作れる?」とか、どうでもいい話。
正直、うざかった。1人にしてほしかった。
2週間もたつと、俺は限界だった。
すずを傷つけて、まとわりつくのをやめてもらおうと考えた。
休み時間、いつものようにすずがやってくる。
「ねぇねぇ……
「お前さぁ……」
いつもより大きな声で言う。
「何で包帯してんの?」
…………これで
これですずは、俺のこと嫌いになった……
絶対傷ついた……そう思ったのに
すずは笑っていた。
「ごめんね、今はちょっと話せない。また、今度話すね」
俺はぼうぜんとした。
なんでアイツは笑っているんだろう……?
傷つかなかったのだろうか……?
すずは、少しも嫌な顔をしなかった。
放課後、俺は銀行に寄って少ししかない貯金を半分おろした。
アパートの家賃を払うためが、1番大きな理由だ。
銀行から出てすぐ横の細い道を歩いていると、不良っぽい奴ら5、6人に出会ってしまった。
「なあ、お前さぁ、さっき銀行から出てきたよなぁ。ちょっと金貸せよ」
「断る」
「ああ? やんのか、テメー。おい、やるぞ!」
「うぅ……」
もう暗くなっていた。
俺は殴られ、蹴られ、最終的に財布を取り上げられた。
「なんだコイツ、金 少なすぎだろー」
「うわっ、ビンボーかよ。ま、もらっとこうぜ」
「あばよ、ビンボー人」
俺に空になった財布を投げつけると、不良たちは去って行った。
「くっそ……」
なんとか立ち上がる。
口の中が切れて、血の味がした。